表紙を飾っていただいたのは、とんぼ玉・彫金作家の籾山啓三さん。とんぼ玉制作は、色ガラス棒をバーナーで溶かし、さまざまや模様を描く細かい手仕事だ。関西学院大学に入学した60年代末は、ヒッピームーブメントの全盛期。世界各地43カ国を遊学し、その時出会った、紀元前の古代エジプト新王国時代の神秘的で美しい装身具に魅せられたのが、この世界に入った原点だ。「当時の日本では、ガラスビーズやシルバーアクセサリーは、なかなか売っていなかったし、制作する人もいなかった。だから、自分の欲しいものは、自分で作ろう」と、帰国後、大学を中退し彫金スタジオを開設。独学で制作技術を磨きながら、とんぼ玉・彫金作家の第一世代として、日本ジュエリー展や関西グラスアート展で入選するなど、40年以上にわたって活躍している。とんぼ玉やモザイクガラス、貴石を使った籾山さんの作品は、ひとつひとつが個性的で存在感を放つ。「今までもこれからも変わらず、好きなものを作っていく。そして、こんな美しい世界があることを多くの人に知ってもらいたい」と語る。
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