兵庫区・昭和14年生まれ
営んでいた四軒の居酒屋と自宅を阪神・淡路大震災で一度に失った。その後、尊敬する師を慕い、役行者(えんのぎょうじゃ)が開祖の金峯山(きんぷせん)修験本宗で修行を重ね、現在は「教師」の身分を持つ。長年、厳しい山伏の修行を乗り越えてこられたのは、高橋さんが「立飲行(りついんぎょう)」と呼ぶ「修行帰りにたしなむ仲間との一杯の楽しみがあればこそ」。四年前に脳こうそくで倒れたが一命を取りとめた。右目の視力は失ったが修行に出向く体は取り戻した。住んでいるマンションの自治会長を務めるかたわら、寺を持たない僧侶として毎年1月17日には被災地の慰霊塔めぐりは欠かさない。失うことを受け入れ、糧にしながら今日も前を向き続ける。